物語その2 花
わたしは猫のニャア子。

猫なのに、かけっこも木登りも下手っぴ。

どんなに頑張ってもみんなみたいに出来ないの。

わたしの体は頑張れば頑張るほど疲れちゃうんだって。
だから頑張っちゃダメだよってお医者のソイ先生に言われてるの。

だけど、わたしはみんなみたいに蝶々を追いかけて野っぱらを飛び回りたいし
木登りしてお空の近くから街を見てみたいの。

ソイ先生に内緒で木登りの練習したけど、次の日鼻の先から尻尾の先まで痛くなっちゃった。

なんでわたしだけ出来ないことばっかりあるんだろう。

悲しくて、悔しくて、誰もいない空き家の押し入れで何度も泣いたんだ。

でも、みんなと一緒にいるときはニッコリ笑顔で、動けない分いっぱいお喋りして楽しくしよう!って思ったの。

わたしはみんなの笑顔が大好き。
みんなの笑顔を見てると、とっても幸せな気持ちになれるの。

でもね、

時にはみんなと一緒にいても元気になれない時もあるんだ。

でもね、

わたしが辛そうな顔してたら、みんなの楽しい時間を邪魔しちゃうんじゃないかと思って元気なわたしを演じていたの。

でもね、

それは自分に嘘をついているからとっても苦しいの。

ある時、いつも同じ原っぱで遊んでいるミャーコ姉ちゃんにぽつりと話したの。

「ずっと元気な振りしてるの辛いんだ…」

そしたらミャーコ姉ちゃんは
「誰がいつでも元気でいろって言った?辛かったら無理してニッコリしてなくてもいいんだよ。みんなそっとしておいてくれるよ。大丈夫だよ。」

って言ってくれた。

心にぴょこんと芽が生えた。

お日様が照る日は太陽に向かって葉を広げ、ぐんぐん伸びて小さな花を咲かす。

雨の日は頭を垂れて、葉っぱをたたんで根っこで水を飲む。

風の日は流れに身を任せて揺れてみる。
でも、雨水を沢山飲んで根を張ったから吹き飛ばされることはない。

そしてまたお日様と会えたら葉を広げ次の蕾に春が来る。

「なんだ、簡単なことなんだね。」
と笑うわたしの背中を
ミャーコ姉ちゃんは丁寧に毛繕いしてくれた。

明日は何して遊ぼっか!
スポンサーサイト
【2008/11/06 01:48 】 | 小話 | コメント(2) | トラックバック(0) |
物語を書いてみました
あるところに、ややちゃんという名前の女の子がいました。
ややちゃんは見た目はみんなと同じだけど、ひとつだけみんなと違うところがありました。
それは、ややちゃんは体の中に、お医者さんでも困ってしまう難しい病気を持っている事です。

だから、みんなが当たり前のようにやっていることが、ややちゃんには出来なかったり難しかったりします。
でも、ややちゃんはいつも笑顔でみんなが笑ってくれるのが大好きでした。
ややちゃんはみんなと同じように当たり前のことがしたくて、体が痛くても一生懸命頑張りました。

それから幾つかの季節が過ぎて、暑い暑い夏がやってきました。
街を歩く若い女の子はみんなかわいいサンダルを履いています。
それをみたややちゃんは、自分も履きたくなりました。

でも、履けませんでした・・・

ややちゃんの足首はグラグラ動くので、両脇からしっかり支えてくれる丈夫な靴でないと歩けないのです。
それでもややちゃんはかわいいサンダルが履きたくて、転んでも転んでもサンダルを履き続けていました。
そしてある日、サンダルを履いたまま出掛けたややちゃんは転んで大怪我をしてしましました。

その日を最後にややちゃんはサンダルを履かなくなりました。
そのかわり、街行く女の子の足元を見ては「あーいいなぁ。私も履きたいなぁ」と羨むようになりました。

どこに行っても羨ましいばかりでちっとも楽しくありません。

ややちゃんはどんどん元気がなくなっていきました。
遂には、みんなを笑わせることもしなくなり、ややちゃんの顔から笑顔が消えてしまいました。



ある晩、ややちゃんは不思議な夢を見ました。
それは、ややちゃんが大好きなおばあちゃんと、雲の上を散歩している夢でした。

雲の隙間から見える街を指差しておばあちゃんはゆっくりと優しくややちゃんに話しかけました。
「ほれ、下をみてごらん。たくさんの人がいるね。その中でも蒼く透き通った空の色をした人と雨雲のようにどんよりしている人がいるのがわかるかい?」

ややちゃんは目を凝らして街を見ました。
すると、おばあちゃんの言うとおり蒼く透き通った空の色をした人と、雨雲のようにどんよりしている人がいました。
「おばあちゃん、見えたよ。でも、なんであの人達は色が違うの?それに空色の人は笑ってるけど、どんより色の人はつまらなそうだよ。」

おばあちゃんはややちゃんを膝の上に乗せてややちゃんの頭をなでながら話しました。
「蒼く透き通っている人は、人と比べるんじゃなくて自分の中の自分と向き合って、自分で答えを出して歩いている人なんだよ。どんよりしている人は、人と比べて、自分の持っていないものを他人が持っていると羨ましくてしかたないんだね。悩んだら誰かに答えを教えてもらうのを待っている人なんだよ。」

「ふぅ~ん」と言って、ややちゃんはもっと目を凝らして街を見ました。

すると、蒼でもどんよりでも無い人がいたのです。
その人はどんよりとした中がピカピカ光っていて真上から大粒の雨を降らせています。

「おばあちゃん!!あの人は?」

おばあちゃんはややちゃんの手をしっかり握って教えてくれました。
「あの人はねぇ、今自分自身と戦っているんだよ。羨ましいと思う気持ちと、自分は自分なんだという気持ちがぶつかって雷が光って心から雨が降っているんだよ。ほれ、ややちゃん、よく見とくんだよ。」
と双眼鏡を渡してくれました。

ややちゃんは、双眼鏡を覗いてその人の様子をじっと見ていました。
しばらくすると、雷と光はなくなりどんよりとした雲の隙間から綺麗な青空が見えてきました。
その人の顔はとても穏やかで優しい笑顔になっていました。

おばあちゃんはまたややちゃんの頭を優しくなでながら穏やかに話してくれました。
「ややちゃん、人はねそんなに強くはないんだ。当然弱い心も持っていていいんだよ。
でもね、人はそれと同じくらい強いんだよ。信じる道を見つけたらどんな困難も乗り越えてゆける。
だけど、ずっと強くはいられないよね。そんなときは休めばいいんだよ。休みすぎてどんよりしちゃったら、さっきの人みたいに自分と戦ってたくさん雨降らせて、地ならしをするんだ。
そしたらまた青空に戻れるんだよ。
ややちゃんは今何色かい?おばあちゃんはいつでも見守っているからね。」

振り返ると、おばあちゃんの姿はありませんでした。

ややちゃんは目を醒ましました。
目からは涙が流れていました。

「私はかわいいサンダルは履けないけど、私のために一生懸命作ってくれた世界にたった一つしかない靴がある。私はこの靴を履いて街を歩きたい」

ややちゃんは穏やかで優しい笑顔の女の子に戻りました。





【2008/07/29 00:12 】 | 小話 | コメント(3) | トラックバック(0) |
| ホーム |